購読している玩具業界紙「トイジャーナル」の2017年3月号に興味深い記事が載っていたので紹介します。
「メーカー販促の現状から消費者の変化を探る」という特集の中で
昨年末大ヒットした玩具、タカラトミーが発売した玩具「うまれてウーモ!」についての記事がありました。
引用します。
昨年末大ヒットした「うまれてウーモ!」は、ヒカキンをはじめ人気ユーチューバー100名を起用したプロモーションが大きな話題を呼んだ。
「発売直前までタマゴしか見せられなかった中で「何のタマゴだろう?」ということを自社HPやユーチューブ、公式ツイッターなどで見せてワクワク感を毎日少しづつ消費者へ提供した。
そして発売日にユーチューバー100人が一斉に動画を配信したことで一気にブームになった。ユーチューブにこんなにたくさん動画があるぞと興味を持ちそうな若い世代へアピールして話題を作っっていったことが大きな効果につながった。
トイジャーナル2017.3 p29
(強調表示は管理人による)
「うまれてウーモ!」 は「ユーチューバー100人が一斉に動画を配信するプロモーション」で人気おもちゃになった、という記載があります。
事実、「うまれてウーモ!」は2016年10月に「おもちゃ情報.net」の女の子向けランキングで1位を取り、その翌月2016年11月のおもちゃ売り上げランキングでは女の子向けTOP10で1~4位を独占した状況でした。
2016年11月の女の子向けランキング
画像引用:月間ランキング | おもちゃランキング | おもちゃの総合情報サイト: おもちゃ情報net.(2016年11月時)
その後12月には品切れが相次ぎ、クリスマス前にはプレミア価格になっていました。
(ウチの小3の息子もあの時突然「ウーモが欲しい」とか言い出したので何があったのか不思議だったのですが、YouTubeだったのですね)
これは、子ども、特に小学生以下に向けたYouTubeによるプロモーションが大成功した一例として今後も語られる事でしょう。
別にこういったプロモーションを批判したいわけではありません。
(単に子どもに人気の有名人を使用した宣伝方法がネット媒体になっただけで、自分が子どもの頃にも気づいていなかっただけで、TVや雑誌でも同じようなプロモーションは行われてきたのでしょうからね。)
ただ、ようやくYouTubeなどを使用した宣伝手法が小学生低学年、幼稚園児まで浸透し、実際数字として成功した事例が出てきた、という事に正直「時代がすごいスピードで動いている」と驚いています。
今までは、こういった小学生の流行はコロコロコミックなどの子供向け雑誌が担ってきたですものね。
今後は、こういった小学生低学年だけではなく、幼稚園児に向けたネット媒体でのプロモーションってのも増えていくものと思われます。
プリキュアも今年はネットに力をいれつつあります。
オープニング、エンディングだけではなく、変身シーンやキャラクターソングも「プリキュア公式youTubeチャンネル」で放送終了と同時に配信されています。
(プリキュア公式YouTubeチャンネル - YouTube)
今後もこういった施策が浸透していくのでしょう。
余談ですが、
2017年3月12日23:00現在で、再生数は
オープニング 929,189回
エンディング 1,447,979回
とエンディングの方が1.5倍の再生数になっています。
これはエンディングダンスを覚えるために視聴する子供(と大人)が多いのでしょうね・・。
幼児のネット利用状況。
同誌に「おもちゃ基礎データ2017」として子どものスマホ、タブレット利用状況についてのデータも載っていました。
その元データはミキハウスが調査したデータで、ネットで公開されています。
7割のママが「子どものスマホ使用に悩み、不安がある」―― 「子育て×スマホ」アンケート調査 | 妊娠・出産インフォ|ミキハウス出産準備サイト
調査期間:6月26日~7月5日
調査対象:ミキハウスBCP会員のうち、生後6か月から3歳までのお子さんのいる方
調査方法:会員向けインターンネット調査
有効回答件数:2107人
実施が2016年6月~7月と比較的新しく、有効回答も2107人なので信頼性は高いと思います(ミキハウスBCP会員限定である、という所の選択バイアスを考慮しないといけないとは思いますが。)
これ見て驚いたのですが、
3歳までのお子様をお持ちの家庭で、
60%がスマホ、タブレットを子どもが使い、
うち、
55.6%が1歳以下から使い出し、
毎日使用している子どもが30.8%
週4日以上にすると、
実に90.5%の子供がスマホ、タブレットを使用している。
ということです。
スマホ使用している子供は全体の60%なので、そこから計算すると、
「3歳以下の子供の54.3%が、週4日以上スマホ、タブレットを使用している」
という事になりますね。
同サイトの発表によると、子どものスマホ、タブレットの主な使用目的は
「写真、動画を見せる」が一番多く、45.3%。
使用させるタイミングとしては
「子どもをあやす時(18.7%)」
「子供が使いたいといった時(17.0%)」
が上位でした。
もう、小学生以下どころか3歳以下の子供にもスマホ、タブレットは浸透してきているようです。
今後のネットでのプロモーションは「1歳児、2歳児」を相手にする必要性が出てくるのかもしれませんね。
ただ、同「トイジャーナル2017年3月号」の特集には、
1:ウェブは親にとっては情報ツール、子供にとっては娯楽媒体。
2:子供には受動的に受け取れるCMが効果が高い。
3:70%以上の子どもがTVCMを商品認知の情報源にしている。
4:子どもにとってCMは娯楽の一部なので録画視聴時でもCMを飛ばさない。
5:玩具メーカーが最も重要視する媒体は「TVCM」と「実際の売り場」
などの記載もあり、
ネット媒体は重要ではあるものの、
まだまだ子どもの玩具購買動機の最重要項目では無く、
TVCMや売り場が重要である、という感じになってました。
おもちゃ業界的には「実際の売り場」と「テレビCM」がまだまだ宣伝媒体としては一番重要らしいのです。
おもちゃ売り場を見れば「プリキュアの勢い」もわかるのではないでしょうか。
(自分もイオンなんかで良く見ています。「キラキラ☆プリキュアアラモード」の玩具は売り場の一等地を確保していましたよ。)
(おわり)