2017年春、ついにプリキュアのスマートフォン用ゲームアプリ「プリキュアつながるぱずるん」が配信されます。*1
プリキュアつながるぱずるん | バンダイナムコエンターテインメント公式サイト
一筆書きのパズルゲームで、基本無料のアイテム課金制ですね。
画像引用:
【事前登録】『プリキュア つながるぱずるん』プリキュアのパズルゲームが登場モフ! [ファミ通App]
親子で楽しめそうなパズルゲームで良かったです。
これがアイドルマスターみたいなのだったら自分も2桁万円くらいは軽く課金していたかもしれません。しかし「カードは完全描き起こし&ボイス付き」らしいので理性どこまで保つかはわかりません・・。
しかし、これを友人に話した時に言われたのが、
「ついにプリキュアも課金ゲーか。オタからお金取るようになったら、もうコンテンツとしてはヤバイんじゃないの?」
でした。
個人的も、
「女児がメインターゲットのコンテンツ」がスマホアプリ化する時っていうのは、「風向きが変わった時」と思っていました。
だって、ホラ。女児は自分でスマホでアプリをダウンロード出来ないじゃないですか。
必ず親の意思が介入する訳であり、そこをプラットフォームにする、って言うのは確実に大人を意識する訳です。(3DSのゲームでも親の意思は介入しますけどね)
また、スマホゲーム化は当然「大きなお友達」も大きく意識するハズです。(事前登録者数に応じて「なぎさ」「ほのか」が貰える、なんてのもやっています。)
画像引用:【事前登録】『プリキュア つながるぱずるん』プリキュアのパズルゲームが登場モフ! [ファミ通App]
いままでプリキュアのゲームは3DSなどの携帯機での展開がメインであり*2、2016年「魔法つかいプリキュア!」はついに3DSでゲームが出なかったので、どうしちゃったのかな、と思っていました。
プリキュアのゲームが携帯ゲーム機から、スマホアプリへ移行する事にどんな意味があり、何が起きるのか。
単純にプラットフフォームが3DSからスマホへ移るだけなのか。
ちょっとその辺り見ていきたいと思います。
(そんな大したお話ではないですけど)
その前に、近年の女児向けアニメのスマホゲーム化についてみてみます。
女児向けゲームのスマホゲーム化
女児向けアニメのスマホゲームアプリ化といえば
2016年1月に「アイカツ!フォトonステージ!!」
と
2016年9月に「プリパラ プリパズ」
が、最近出ています。
(サンリオの「SHOW BY ROCK」はちょっと違いますね。)
ちなみに、アイカツは100万ダウンロード、
ありがとう!!100万ダウンロード突破! アイカツ!フォトonステージ!!|バンダイナムコエンターテインメント公式サイト
プリパラは、50万ダウンロード
【システムより】おかげさまでプリパラプリパズは累計50万ダウンロードを突破しました。
といった感じのダウンロード数ですね。
(しかしアイドルマスターシンデレラガールズスターライトステージは1700万ダウンロードですので、これらのアプリのだいたいの規模がわかると思います)
今回のプリキュアのゲームアプリ「プリキュアつながるぱずるん」も事前登録者数が、3万、5万、8万になるとプレゼントが貰える仕様ですけど、事前登録で10万くらいは行きそうです。
(むしろ、大人気で想定以上の事前登録者数が!追加ボーナスはコレです、みたいな事をやってくるのではないでしょうか。)
アイカツ!の時も、1万、3万、5万の事前登録でボーナスが貰えるという事だったのですが、最終的な事前登録者は12万人を越えていました。
アイカツ姉さんには、ごめんなさいしないといけませんね。 - プリキュアの数字ブログ
あ、「プリパラ プリパズ」も事前登録で10万人を突破しています。こちらは事前登録30万人まで特典を用意していましたが、10万人に留まりました。こういう所がプリパラらしくて好き。)
アイカツのスマホゲーム化
さて、この女児向けコンテンツのスマホゲーム化、どのタイミングで行われてきたのかを「アイカツ!」の場合で見てみましょう。
このグラフはバンダイナムコのアイカツ!のグループ全体の売り上げ数値の推移です。
説明会資料 | IRライブラリ | IR・投資家情報 | 株式会社バンダイナムコホールディングス
(トイホビー売り上げではなく、映像作品なども入れた「グループ全体」の数値です)
2013~2014年に隆盛を誇っていた「アイカツ!」も2015年は低迷が続いていました。
2016年になって、1月28日にスマホアプリ「アイカツ!フォトonステージ!」がリリースされ、さらに4月にアニメも「アイカツスターズ!」へとリニューアル、5月にアーケード筐体も一新されました。
それらの施策が功を奏してか、過去2年(2014、2015年)は4Q(1~3月)→1Q(4月~6月)のタイミングで大きく落ち込んでいたのが(学年の切り替わりで下がるのは良くない)、2016年の4Q→1Qは回復傾向になっています。
もちろんアニメのリニューアル、筐体リニューアルの効果が大きいとは思いますが、前作のキャラが出るスマホアプリの「既存ユーザーの繋ぎとめ」効果もかなり高かったのではないでしょうか。
ある意味、スマホアプリが「アイカツ!」というコンテンツの寿命を延ばすことに貢献しているものと思われます。(100万ダウンロードがそれを表していますよね)
(プリパラは売り上げが公開されていないので、比較検討することが出来ませんでした。
ただ、50万ダウンロードを突破している事より、好調っぷりは感じられます。)
参考に「妖怪ウォッチ」
女児向けアニメではありませんが、参考に妖怪ウォッチの場合も見てみました。
(妖怪ウォッチとアイカツ、プリキュアはビジネスモデルも何もかも違うので参考程度です。)
妖怪ウォッチのスマホ用アプリ「妖怪ウォッチ ぷにぷに」は2015年10月に配信開始しています。
妖怪ウォッチも3DSソフト「妖怪ウォッチ2」発売以降の2015年以降、ピークアウト気味に推移していますが、スマホ用ゲームもそのタイミングで配信されています。
「妖怪ウォッチぷにぷに」も2016年8月に累計800万ダウンロードを突破し、妖怪ウォッチというコンテンツの継続化に一役買っているものと思われます。
2016年になりグループ全体の売上的には安定してきていますね。
この様に、スマホのゲームアプリ化は「ちょっと売上が落ちてきたコンテンツ」のお客様に「既存のキャラを忘れさせない」と共に「新しいキャラを認知させる」効果があるように感じられます。
プリキュアのスマホアプリのリリースタイミング
対し、プリキュアの場合はどうなのでしょう。
同様に、プリキュアシリーズの「グループ全体」の売り上げ推移です。
プリキュアのグループ全体の売り上げは、妖怪ウォッチ旋風が吹き荒れた2014年に下がるものの、ここ2年で徐々にではありますが回復傾向にあります。
「アイカツ!」や「妖怪ウォッチ」のスマホアプリのリリースが売り上げが低迷してきているタイミングで投入されているのに対し、プリキュアの場合は回復時期にアプリが投入されます。
このタイミングでプリキュアのスマホ用アプリを配信する、というのは決して「落ち目になったコンテンツをコレで盛り返してやろう」といった様な感じではありません。
むしろ攻めの意図を感じます。
(この先は妄想であり、願望です。)
空白地帯に滑り込むアプリ
プリキュアつながるぱずるん | バンダイナムコエンターテインメント公式サイト
現在、プリキュアを一番見ない層、つまり「一番の空白地帯」は10代~20代前半の女性層だと思います。
プリキュアも放送開始から14年が経過し「ふたりはプリキュア」放送時に6歳だった女の子も20歳になっています。
このプリキュアのゲームアプリが少しでもそういった層にリーチできて、
「なつかしい」「昔見ていた、あのプリキュアだ」と今の10代20代にプリキュアを思い出してくれるようなアプローチが出来れば。
10代20代の女子には必ず「自分の子供時代に見ていたプリキュア」が出てくるハズなのです。
そんな、なつかしい「プリキュアの思い」が今後のプリキュアの再認知に繋がっていくようになれば良いのではないでしょうか。
プリキュアのスマホアプリ化、というのは決して終息に向けた動きでは無いのです。
スマホアプリ化により、今の子供たちとその親が一緒に遊ぶのはもちろんの事、
今まで「最もプリキュアが遠い存在となっていた、10代20代」にプリキュアを届け、思い出してもらう。
(さらに言うなればその人たちが、母親父親になった時にプリキュアコンテンツを子供と一緒に楽しむ。そうやって繋がっていくことも考えられます)
(あと、大きなお友達は、何もしないでもきっと全力でアプリを楽しみますので良いですね。)
このプリキュアのスマホ用アプリの成功は、プリキュアが2世代コンテンツへとなっていく架け橋へとなる可能性を秘めています。
「終わりの始まり」では無い。
むしろ、このスマホアプリを通して、これからプリキュアの新しい時代が始まる。
そんな予感がしています。
(おわり)