プリキュア、語りたいですよね。
少なくとも、「自分が実際に読んで」プリキュアをより深く知るために為になった、
”おすすめの本”を10冊、紹介したいと思います。
表紙を紹介したかったのでアマゾンのリンクがありますが、
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(安心して?クリックしてください。)
まず1冊目
プリキュアシンドローム
プリキュア シンドローム!〈プリキュア5〉の魂を生んだ25人【描き下ろしポストカード3枚付き】
- 作者: 加藤レイズナ
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2012/03/09
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 106回
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まずは、これですね。プリキュアシンドロームです。
Amazonのレビューでは散々ですが、自分はこの本が大好きです。
確かに、何というかインタビュアーとして「他の人が聞きたいことを聞き、まとめて1冊の本にする」という体をなしておらず、「自分の聞きたい事をただ聞いている」という印象はぬぐえません。失礼な部下と、優しい上司の飲み屋での会話を聞いているような感じ、といえばわかりやすいでしょうか。
でも、やっぱり当時のプリキュアの置かれていた状況がすさまじく生々しく伝わってくるのです。プリキュア5当時のプリキュアを作ってきた人たちの置かれた状況、誰が何を考え、どんな行動をおこして、その結果何が起きたのか、「臨場感」という意味では本当によくできた本だと思います。
あと、没設定や裏話、資料集としての価値もあります。
プリキュアが好きで、まだこの本を読んだことのない人はぜひ手に取ってもらいたいです。その情報量には圧倒されると思います。
参考までに、(目次)を引用します。
(目次)読むだけで、本文読みたくなるでしょう。
(帯の目次引用)第1章 立ち上げろプリキュア/鷲尾 天(東映アニメーション)
亀田雅之(ABC)/鶴崎りか(ADK)第二章 おもちゃのプリキュア/玩具開発 高橋真樹/渡辺真紀(バンダイ)
第三章 製作現場のプリキュア
小村敏明(SD)/川村敏江(キャラクターデザイン)
成田良美(シリーズ構成)/行信三(美術)
第四章 演じるプリキュア/声優 三瓶由布子(キュアドリーム)/竹内順子(キュアルージュ)/伊瀬茉莉也(キュアレモネード)/永野愛(キュアモント)/前田愛(キュアアクア)/仙台エリ(ミルキィローズ)
第五章 音楽のプリキュア / 青木久美子(作詞家)/只野菜摘(作詞家)
工藤真由(歌手)/宮本佳那子(歌手)/佐藤直紀(作曲家)
第六章 そして「プリキュアオールスターズDX]へ
大塚隆史(監督)/青山充(作画監督)/村山功(脚本)
第七章 もうひとつのプリキュア/ 上北ふたご第八章 バックステージのプリキュア / 坂井和夫(制作担当)/鷲尾 天
ね、読みたくなってきたでしょう。
2冊目
だからアニメシナリオはやめられない
ベテラン脚本家さんの小山高生氏が編著した本です。
脚本家30人のリレーエッセイ集です。
シナリオ論の本ではなく、アニメの脚本家30人が普段何を考えているのか、どういう成り立ちで今があるのか、などが書かれたエッセイです。
執筆陣も小山高生さんをはじめ、あかほりさとるさん、井上敏樹さんなど超豪華です。
(余談ですけど、この井上敏樹さんのエッセイが超面白かったです)
この執筆脚本家30人の中でプリキュアに関連のある脚本家さんとしては
成田良美さん(全シリーズ脚本、SS,5、GoGo,ハピネスのシリーズ構成)と佐藤勝一さん(プリキュア5、GoGo脚本)の2人です。
特に成田良美先生は、まずエッセイのタイトルが
「子供向けアニメは窮屈だけど」
ときたものです。
「今度こういうオモチャを発売するので、アニメで出してください」という要求をされて、新しい商品を出すために、物語の展開を変えることも少なくありません。これを私はオモチャ問題と呼んでおりますが、なかなか頭の痛い問題であります。
重要なのは人間ドラマ、オモチャなんてどうでもいいじゃん!と叫びたいこともありますが、そうも言ってられません。(p29)
これを成田先生が書いたのはプリキュア5のシリーズ構成をやられていた時のようですが、なかなかに、過激な事をいいます。
しかし、オモチャ問題よりも気がかりなのは、脚本を書く上での禁止事項が増え続けていること。いわゆる放送禁止用語に加えて、子供アニメ禁止用語があります。(p29)
子どもに悪影響があると思われるシーンは親や教育機関から苦情がきて、対応に追われ、昨年使えた表現が今年は使えなくなる、と嘆いています。
・なんでこの言葉が駄目なんだろう?と思うこともかなり多いです。(P30)
・窮屈だなぁ、と思います(p30)
わずか3ページのエッセイに子供向けアニメのシナリオを作る上での苦労話(愚痴?)がこれでもか、と書かれています。
いや、別に最後まで読むと、成田先生が子供向けアニメの脚本を嫌っているわけではない、ということは解りますので安心してください。
こういう脚本の制約などをきちんと理解したうえで、大人としてプリキュアを語るとかなりの説得力がでるのかな、とひそかに自省しています。
3冊目
Febri(フェブリ)Vol.30
雑誌を紹介するはおかしいかな、とも思いつつも今の世の中、Amazon等でいくらでもバックナンバーが買える時代ですので、構わず紹介します。
このフェブリって雑誌は、まあアニメ関連の雑誌なのですが、Vol30は、「プリンセスプリキュア」特集でした。(全33ページの特集です)
田中SDのストーリー解説にはじまり、キャラクターデザイン中谷友紀子さん、キュアスカーレット役の沢城みゆきさんのインタビュー、そしてプロデューサーの神木優さん、シリーズディレクター田中祐太さんのインタビューで構成されています。(あと、OPの絵コンテ&修正案もあり、かなりのボリュームです。)
沢城「プリキュア」は基本、子供たちに向けて作っているものですから、絶対に嘘はつかないし、ひたすら真剣にやる。そこだけは本当に大事にしています。やっぱり子供って真剣にやらないと「あっ、これは本気じゃないな」ってすぐに気づくんですよ。(p27)
神木P「プリキュア」はまず、小さな女の子たちに観てもらうことが大前提なんですけど、「ああいうふうになりたい」という憧れの気持ちが一番大切だと思っています。(p28)
田中SD「今年の「Go!プリンセスプリキュア」に関していえば、とにかく王道を貫こうかと思っているんです。それこそ、アニメの観方そのものがまだおぼつかない子たちが観るための作品なので、いきなりヒネったものを見せても仕方がない(p30)
やっぱり、プリキュアはきちんと子供と向き合って作られているようで安心しました。
これらのインタビューを読む限りは「特に今年は」子供に向けてしっかりと作っている、といった感じでした。
あと、田中SDのインタビュー中において、最近のプリキュアは視聴年齢が3,4歳からさらに下回り2歳から、とかになっているという話が印象的でした。
さらに、神木プロデューサーのインタビューの中でプリキュアの水着問題に少しだけ触れられています。
神木P「プリキュア」ではこれまで、彼女たちの水着シーンを基本的に避けてきたんです。(P29)
これまで、プリキュアにおいて表現を避けてきた「水着」。(フレッシュのアレはまあ置いておいて)
何故いま解禁されたのか、どういう考えで、なにを目的にしているのか、という所が(少しだけ)触れられています。
とにかく、内容盛りだくさんで、どういう思想で「Go!プリンセスプリキュア」が作られているかの一端が解り、また、資料的価値も高い、おすすめの雑誌です。
(雑誌なので、「欲しい」と思ったときに買っておかないと、一生手に入らなくなる可能性もあるので、気になった方はなるべく早く手に入れておいた方が良いですよ)
4冊目
アニメプロデューサーの仕事論
- 作者: キネマ旬報映画総合研究所
- 出版社/メーカー: キネマ旬報社
- 発売日: 2011/10/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 3人 クリック: 155回
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著名なアニメのプロデューサー5名によるプロデューサー論と対談集です。
アニメのプロデューサーに焦点を当てた本って少ないんですよね。
ところでアニメのプロデューサーって実際何をする職業なのでしょうか。自分は詳細は知りませんでした。
で、この本を読んで、ああ、アニメのプロデューサーってこういう仕事なのか、という大枠が理解できました。
いや、ね。
プリキュア界隈でもよく、プロデューサーの話が(一部で)よく出ます。
曰く、あのプロデューサーになってから変になった、とか
あのプロデューサーはキャラを云々・・・
もちろん、東映アニメのプリキュアのプロデューサーと他アニメのプロデューサーでは役割は違うと思います。
でも、プロデューサーが・・といった文脈の時に、トンチンカンな事を言わないためにも、
アニメにおけるプロデューサーが何をしているのか、を知っておいた方が色々と良いことがわかりました。
プリキュアの数字ブログ的には
ボンズの南 雅彦さんの
「天空のエスカフローネ」は、当時5~6%の視聴率を取っていたんですよね。夕方の時間帯での5%といったら視聴者の数は数百万人ですから、それだけの人に見てもらえていると思うと、自分はもちろん制作スタッフ全員が身震いする興奮を覚えましたし、手応えもすごかったです。(P64)
今も視聴率は刺激的か?との質問に
今は、手塩にかけた作品でも1,2%とか低い数字を見ることも多いのでつらいですよ。もちろん、1,2%でも、多くの人が観ているんですが。
やっぱり数字としては、5%というのが理想というか、全国津々浦々の人が観ているイメージに達する数字ですね。(P66)
という部分が面白かったです。やっぱりプロデューサーさんも、視聴率ってのを気にしているんだなあ、と思いました。
何はともあれ、「プリキュアのプロデューサーは***」とか言う前に一読しておくと、色々と言動に厚みがでてくるのではないでしょうか。おすすめです。
(何度も言いますが、アフィリエイトリンクはありませんよ)
5冊目
CGWORLD
(↓こっちはCGWORLDのアニメ関連をまとめた書籍。アニメ関連のCG情報だけならば、こちらの方が良いです。)
アニメCGの現場 2015 CGWORLD特別編集版 (Works books)
- 作者: ワークスコーポレーション書籍編集部
- 出版社/メーカー: ワークスコーポレーション
- 発売日: 2014/12/24
- メディア: 単行本
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(amazonに紹介画像があったので貼っておきます。こんな感じです。)
(CGWORLD vol189)
今や、プリキュアと3DCGは切り離せない関係ですね。
「CGWORLD」は、CGの専門誌ですが、まれにプリキュアやアイカツなどのCGが取り上げられます。(自分はそういう時だけ買っています・・すいません)
自分はプリキュアのCGはいろんな意味で、日本のアニメCGの最先端だと思っています。
そのプリキュアのCGがどのように作られているのか、を理解するのに最適な本だと思います。「CGWORLD vol189」は、ハピネスチャージプリキュアの前期エンディングの特集でした。あのエンディング、素人目にみてもすごかったですよね。
「キュアラブリーのスケボーシーンは、方向転換するときに体重移動を入れたり、髪の動きだけで風の流れを表現するなど、自分の中でチャレンジしたカットですね」と金井氏。(CGWORLDVol189,P76)
CGといえども「人間の手」によってプリキュアらしさ、を出しているのだな、と感心しました
なによりも、技術書としてとても面白いです。自分の不得意な分野はこういった本で知識を深めていくと、なんというか、安心できます。
ただし、プリキュアに関する記述はごく少数です。そこにお金を出せるか、になるのですが貴重な情報分の価値はあると思います。
早く、Go!プリンセスプリキュアのエンディング特集やってくれないかなあ
6、7冊目
児童心理学
手にとるように発達心理学がわかる本
ちょっと毛色を変えまして、児童心理学、発達心理学の本です。
(上は教科書的、下は図解があったりで解りやすいです)
プリキュアは、もちろん子供のためのアニメです。
よく、ツイッターなりブログなり掲示板なりで、プリキュアの1シーンを指して
「なんでこんな展開にしたんだ!」とか「これは子供には理解できないだろう!」
などの意見をまれによく見ます。
プリキュアのあんなシーン、こんなシーン、一見大人には理解しがたい様に見えるシーンでも、
「「 子供には何が見えているのか 」」を理解しておくと、
色々を合点がいくこともあるのです。(これがなかなかに難しいのですけどね)
例えば、これらの本にもかかれていますが、有名な実験に「ピアジェの保存課題」ってのがあります。
要は、小さな子供は「保存」の概念がまだ上手く理解できず、「形が変わっても本質は変わらない」ということが理解できず、今、目に見えるものが全てである、というのがあります。
詳しくはここ↓ ピアジェの保存課題
子どもの論理性を測定する難しさ 〜ピアジェによる保存課題〜 « 国際文化学科
(ピアジェの保存問題は批判もあるようですが、知っておいて損はないと思います。)
プリキュアにおいても、中身は一緒だけど、前後でカタチが変わる、なんてものは良くあります。われわれ大人はそれが同一であることは安易に認識できますが、未就学児にはそれが理解できないこともあり、そして、そういった子供達に向けてプリキュアも作られているのだと思います。
子供がどういう風に考える生き物か、という視点をもっておくと、プリキュアを語る上で、考え方に厚みがでるのではないのかな、と思います。(これがまた、難しいのですけれども)
8冊目
ヒーロー、ヒロインはこうして生まれる アニメ・特撮脚本術
脚本家さんの対談集です。アニメよりは特撮関連の話が多いですが、脚本家さんが何を考えているのか良くわかります。
プリキュアも書いている脚本家さんはスイート、スマイルに脚本参加された小林雄二さんです。
これも、目次見ただけで面白そうですよね。
第1章 平成仮面ライダーとは何か?井上敏樹×虚淵玄
第2章 東映特撮と「セーラームーン」をめぐって 小林靖子×小林雄二
第3章 平成ウルトラをめぐって 小中千昭×曾川昇
1章の虚淵玄先生の発言が面白かったです。
虚淵 しかし視聴率には悩まされました(p25)
井上 あとさ、数字はともかく視聴者の声は耳にいれないよね
虚淵 ツイッターとかで感想を言ってくれる人もいますけど、そもそもメインの客層は子供たちなわけで、その子たちはツイッターなんてやっていない。物好きな人の声としか捉えようがないですね。(p27)
プリキュア関係なかったですね。でも脚本家さんが何を考え、各種数字や、世間の評判などとどういったスタンスで接しているのか、を理解する一端になりました。
まあ、↓の書評の方が詳しいし解りやすいし面白いのでこっち参照してください。
9冊目
星山博之のアニメシナリオ教室
いや、本当にこの本、面白いです。
プリキュアに限らずですが「今回は脚本が・・・」「このシナリオ変じゃねえの」と言いたくなる前にぜひ一読ください。
ファーストガンダムの脚本家、星山先生の本です。
もう、脚本の素人の自分としては、感心することしか書いてありません。
特に「第3者の目」を意識することが重要である、と語られています。
第三者の目を常に意識することはドラマの基本である。
初心者が陥りやすい「ひとりよがりの世界」とは、まさにこの第三者の目がぬけていることに他ならない。
客観的に見ること、客観的な視線を持つキャラを配置することが基本であり重要である、が本書においてたびたび触れられています。
Go!プリンセスプリキュアにおいても、「七瀬 ゆい」というプリキュアに変身しない身内キャラをだすことによって、客観的に「プリキュアとは何か」を解らせるようにしているのかな、と思います。
とにかく、脚本とは何か、を全く知らない自分のような人間にはためになることしか書いてありません。おすすめの本です。
10冊目
プリキュア関連書籍いろいろ
資料集として、読み物として。
手に入りにくいものもありますが、ファンとしては押さえておきたいです。
プリキュアぴあ
プリキュアぴあです。2011年版の方がかなり内容が充実しています。。
オフィシャルコンプリートブック
ファンブック関連。スタッフインタビューでの裏話が面白いです。
スマイルプリキュア! コンプリートファンブック (学研ムック)
- 作者: アニメディア編集部
- 出版社/メーカー: 学研マーケティング
- 発売日: 2013/03/16
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ドキドキ!プリキュア オフィシャルコンプリートブック (学研ムック)
- 作者: アニメディア編集部
- 出版社/メーカー: 学研マーケティング
- 発売日: 2014/03/15
- メディア: ムック
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ハピネスチャージプリキュア! オフィシャルコンプリートブック (Gakken Mook)
- 作者: アニメディア編集部
- 出版社/メーカー: 学研マーケティング
- 発売日: 2015/03/14
- メディア: ムック
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その他 関連書籍
ハピネスチャージプリキュア! 特別増刊号 (アニメージュ2014年12月号増刊)
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2014/10/18
- メディア: 雑誌
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以上です。
シナリオ、脚本関係がちょっと多いですね。(自分の知らない世界の本っておもしろいんです)
他にも「色彩心理学」の本(プリキュアのカラー考察に使える)、とか
このブログ的には統計の本とか
統計でウソをつく法―数式を使わない統計学入門 (ブルーバックス)
- 作者: ダレル・ハフ,高木秀玄
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1968/07/24
- メディア: 新書
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視聴率の本とか
も、すごく面白いですよ。
何か参考になれば幸いです。