2019年9月28日(土)13:00。
秋葉原UDXで開催された「あにつく2019」内のセミナー「スター☆トゥインクルプリキュア」プロデューサーセミナーを聞いてきました。
スター☆トゥインクルプリキュアのプロデューサーである柳川あかり氏が登壇し「アニメのプロデューサーって何をする人なの??」といった観点からのセミナーとなりました。
会場となった会議室NEXT-1はほぼ満員。目測ですが100人以上は入っていたと思います。
柳川氏が最初に取った挙手によるアンケートでは「プリキュアが好き」で来場した方は20~30%くらいだったでしょうか?
その他プロデューサー職に興味のある方や、業界へ就職を考えている人など多岐に渡る方が聞きに来ていました。
ちなみに、この開幕挙手アンケートでは「この後プリキュアライブにいく人、手を上げて~」みたいな質問もあり、数十人が挙手。自分もその1人でした。(その日は16:00より昭和女子大でプリキュアライブがあったのです)
(実況はNG,写真はNG,後で感想を書いてSNSに上げるのはOKとの事でしたので、せっかくの貴重なセミナー、ちょっと書き留めておこうと思います)
東映アニメプロデューサーの仕事とは??
内容的には大きく分けて3つのパートから成りっていました。
1:自己紹介
2:プロデューサーの仕事とは?
3:企画書の作り方
1の自己紹介は柳川あかり氏のプロフィールなど。29歳でプリキュアのプロデューサーって相当なものですよね。すごい。素敵。尊敬する。
自分の興味を引いたのは2の「プロデューサーのお仕事」。
「プロデューサー」って漠然として、何となくはわかるけど「一体、何をメインやっている人なの?」ってのはずっと疑問に思っていたのですよね。
それが今回のセミナーでようやく概要が見えてきました。
ただ「プロデューサー職」は会社によってやる事が大きく変わってくるため、
「東映アニメーション」かつ「柳川あかり」の場合という前提でのお話となりました。
セミナ―の中では、プロデューサーのお仕事は、
・プロジェクトのかじ取り
・人の調整
・作品の責任を持つ
・企画を考える
・作品の設計をする
・俯瞰で見る
・物事を選択して決める
・ステ振り
といった事をやっているとの話がありました。
つまりは「プロデューサーの仕事内容はコレ」といった1つではなく、多岐に渡る様で、
「え??一人でこんな沢山の事をするの??」
「これもプロデューサーのお仕事なの??」
と聞きながらずっと思っていました。
とにかくスター☆トゥインクルプリキュアに関わる、「人事から内容まで」全体を見まわして「決めて、配置して、責任を取る」のがお仕事の概要の様ですね。
(自分には絶対に無理です。すごい。素敵。尊敬する。)
「製作」と「制作」の違い
プロデューサーというお仕事を説明する際にいわゆる「製作」と「制作」の違いなどにも触れました。
「製作」→ビジネス寄り、発注側、アニメを作ってもらう側
「制作」→スタジオ寄り、受注側、アニメを作る側
どちらが上というわけではなく、共存関係にあり「東映アニメーションの企画プロデューサー」は、この「制作」と「製作」両方を見る事になり、そこが大変でもあるし、他社Pと違って面白い所でもある、との事です。
「アニメを作る」だけではなく「どうやって宣伝するか」「どうやって儲けるか?」といった所を管轄するのも柳川Pのお仕事の様です。
・クリエイティブ(アニメを作る)
・ビジネス(お金を儲ける)
・プロモーション(宣伝する)
それぞれの部門全てが「良い作品を作って、作品がずっと愛される事」を目標としながらも、背負っている目標や、守るべきもの、時間感覚などが全部違うために、それをまとめていくことが大変そうですよね。
作品クオリティと、締め切りと、予算のバランスを取る。
もう、社会人はこれを聞いただけで胃が痛くなりますよね。
「人材」と「予算」と「締め切り」が無限にあれば、いくらでも良いものを作れると思いますが、その有限の資産と時間をコントロールして「最高のアニメ」を子供たちに届けていくのは相当な手腕が必要だと思われます。
またプロデューサーの仕事はほかにも、
「作品を展開していく上でのルール作り」
(「何をするか」ではなく「何をしてはいけないのか」が重要らしいです)
毎週の様に「玩具会議」「宣伝会議」が開かれ、作品についての話し合いが行われている事、
コンテのチェック、
本読み、アフレコ、ダビング、初号試写の立ち合い
「子供向けアニメとして、この表現は適切か?」を判断する。
「変身シーンや決め技で、おもちゃと同じように光っているか?」などをチェック
・・・も行っている、との事で、
本当に、東映アニメのプロデューサー職は、「一概にコレ」といった定義でくくれないお仕事をしているのだと実感しました。
すっごいですよね。素敵。尊敬する。
あと、細かい所では、
公式YouTube「3分でわかるスター☆トゥインクルプリキュア」も、柳川Pが一人で作っていた事や、
毎週、インスタの「キュアスタ」にあげる写真なども、柳川Pが選定している、との事。
(こういうのは、もっと役職が下の人がやっているものとばかり思っていたのでちょっとビックリです。どこにそんな時間があるのだろう・・)
ナルホド「3分でわかるスター☆トゥインクルプリキュア」が4分21秒もあるのは、柳川プロデューサーの仕業だったのですね。
宣伝に関しては「いつ、どの情報を解禁するのか?」というのが重要であり、その情報をコントロールするのもお仕事の1つ、との事。(ですので、ネットでの「早バレ」みたいなのは、情報解禁の計画を狂わして東映アニメに損害を与えてしまうので、本当に本当にダメなのですよ。)
スタプリの生みの親、柳川P
スター☆トゥインクルプリキュアは、柳川Pが「まず1人で」企画を考え(今回の場合は宇宙テーマ、ネオ80年代など)、その後に監督やシリーズ構成、キャラデザなど主要スタッフを決めていった形だった、というお話もありました。
会社から言われて「宇宙」をテーマにしたのではなく、柳川Pが「自分で決めて」スター☆トゥインクルプリキュアの骨格が作られていたのです。
まさに「想像力から始まる」。
スタプリの「無限大イマジネーション」の精神はここから始まっていたのですよね。
セミナーは、このほかにも、スター☆トゥインクルプリキュアの「本物の企画書」を(モザイクありですが)見られました。(ダミーの企画書を準備する予定がライブなど多忙により準備できなくて、急遽本物を使う事になった様です)
スター☆トゥインクルプリキュアの「正しい表記」や「英語のスペルはコレ」なども企画書に書かれている事も初めて知りました。
50分のセミナーはあっという間に終わり、
最後の質問コーナーは時間が無くて「事前質問」に約1分で答えるという早業となりましたが、
「シナリオなどにプロデューサーの意見はどこまで反映されるのか?」という問いに対し「責任者としての決定権はあるけど、全てが反映されるわけではない」と答えていたのが印象的でした。
柳川あかりPは、とにかく「プリキュア愛」に溢れる人でした。(いや、子供が好きなのかな・・?)
お仕事でプリキュアを作っているのではなく「子どもたちを喜ばせたい」という信念でプリキュアを作っている人なのだという事を実感しました。
だからこそ、スタプリは想像力あふれる素敵な作品となっているのでしょう。
この人が作るプリキュアであれば、きっと沢山の子供たちの未来を幸せにできるのだろうと思います。すごい。素敵。尊敬する。
最後に、
「人を動かす事で最も気を付けている事は?」
という問いに対し、
「みんな宇宙人だと思う事」
というのが、
最っっっ高に柳川あかりさんらしい、素敵な回答でした。
(おわり)