プリキュアの数字ブログ

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NHK全プリキュア大投票をデータで見る。~女子の強さとフレッシュ!からの転換~

「全プリキュア大投票」の結果が9月14日、NHK BSプレミアム『発表!全プリキュア大投票』生放送内にて発表されました。
数字的にも色々と面白い事が発表されたので、ちょっと書いていきたいと思います。

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「全プリキュア大投票」

全プリキュア大投票 | NHK

投票期間:2019年7月12日(金)12:00~8月31日23:59まで。
作品、プリキュア、キャラクター、歌の4部門にてHP内にて投票。

(全投票概要) 

総投票数は613,524票。
1人最大20票(作品1、プリキュア3、キャラクター3、歌3の計10票で、8/11以降再投票できたため×2で計20票)あったので、参加人数的には最小3万~最大60万人が投票したものと思われます。
「数千ではなく、数百万でもない」というのがプリキュアの「アクティブなネット上の規模」なのかと思われます。

 

全体投票数の男女比および年代別の投票割合はこんな感じです。

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総投票数の男女比は「男性27.6:女性72.6」と圧倒的に女性票が多い結果となりました。

年代別に見ても、
9歳以下が10%、10代が38%、20代が29%、と20歳代以下だけで77%を占め、この2つを合わせるとつまり「10代20代の若い女性」が投票の過半数以上を占めたものと思われます。
もちろんこの場合の”女性”は「心が女の子」を多分に含むと思われます

これは当時、現役で「プリキュア」を見ていた女の子が数多く投票した結果だと思われ、プリキュアという作品が大人になった女の子の心に残り続けている事の証ともなりました。

「10代20代の女の子の投票が圧倒的多数」という事より当時の現役世代のストライク作品である「ふたりはプリキュア」「Yes!プリキュア5」シリーズが全ての投票にわたって強い結果となりました。
(逆に「当時のストライク世代」と「子供と保護者世代」とのちょうど”はざま”となった2014~2016年あたりの作品は投票行動が少なくなる傾向にあった模様です。)

今回のNHK全大投票は、
「スマホを持ち始めた女子高生、大学生、社会人ら若い女性」と「現役で子育て中の保護者」がランキングを動かす結果となった様です。

つまり今回の全プリキュア大投票は、「プリキュアのメインターゲット」である今の子供たちの人気を反映したランキングではなく「かつてプリキュアを見ていた(見ている)女性」の人気を主に反映したランキングとなっているので、その点を踏まえてランキングを見ると、いろいろと面白いのかもしれません。

 

各部門別にみていきます。

作品部門

作品部門は「映画作品込み42作品中」から1作品に投票でき、上位10作品が発表となりました。(8/11以降再投票可)

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上位10作品は全てテレビシリーズとなりました。

 (男女比、年代別投票率)

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作品部門1位は「ふたりはプリキュア」女性の投票率が8割を超え「10代20代女性」の圧倒的な支持を受けての貫禄の1位です。
2位「ハートキャッチプリキュア!」は、もちろん10代女性からの投票が多く、こちらも当時の現役世代の票が多く入ったほか、男性が3割と男性支持も多く、20代30代からの投票率も高いなど、性別、世代を超えて愛されている事が伺えます。
3位「Yes!プリキュア5GoGo!」は女性の投票率が91.6%、年代も10代が77%と「当時の女の子世代」の圧倒的な支持を得ていました。
4位「HUGっと!」5位「スマイル」は世代別の割合が比較的均等(突出した世代が無い)で、あらゆる世代に支持されている傾向が伺えました。

作品別の男女比について

上位10位に入った作品の男女別の投票率の差です。
一番上が「全投票数の男女別割合」となっていて、全投票数と比較して女性投票が多かったのか、男性投票が多かったのかがわかります。

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全体の男女比(一番上)よりも「女性」の割合が高かったのは「ふたりはプリキュア」シリーズ、「Yes!プリキュア5」シリーズでした。
ただでさえ投票数の多い女性票において、これらのシリーズの「女の子支持」の高さは突出したものがあり、特に「Yes!プリキュア5GoGo」は女性投票率が91.6%と、まさに「女の子」が支持していたシリーズと言えるものと思われます。

逆に、男性比率が高い作品は「ハートキャッチプリキュア!」「スマイルプリキュア!」「Go!プリンセスプリキュア」「魔法つかいプリキュア」となりました。
特に「魔法つかいプリキュア!」は男性が46.5%と発表されたデータの中では最も高く、男女ともに支持されていたシリーズと言えるのではないでしょうか。

 

その「男女比」を「放送順」に並べ直したグラフが下記になります。

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初代「ふたりはプリキュア」「Yes!プリキュア5」シリーズは女性投票率が8割を超え、まさに「女の子」に支持されていたシリーズだったのですが「フレッシュプリキュア!」以降から、男性の投票率も増えていっている事が判ります。

そういった意味では、フレッシュプリキュア!がシリーズの転換期となり、男性ファンを増やしていった事が伺えます。
(この男性ファンには「お父さん」も多く含まれているものと思われます)

ただしこれは、圧倒的多数の10代20代女性が「ふたりは」「プリキュア5」に投票していたため、相対的に後半のシリーズの方が男性比率が高くなっている事もあるかと思われます。
また「HUGっと!」は女性投票率が70%を超え、かつ世代的にも30代の投票率も高く、まさに「お母さん世代」に支持されていたものと思われます。

 年代構成比について

上位10作品の「年代構成比」は下記の様になっていました。

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これを放送順にソートしました。

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 傾向として見えてくるのは「ふたりはプリキュア」「Yes!プリキュア5」シリーズは「10代20代の投票が突出して多い(それ以外の世代は合計10%以下)」のに対し、フレッシュプリキュア!以降の作品では30代40代など「他の世代の投票割合も増えている」事です。
Go!プリンセスプリキュアは20代と30代で70%近くを占めているのが特徴です。

ただ、世代別でも、今回の投票の圧倒的多数であった「10代20代の女性」が「ふたりはプリキュア」「プリキュア5」シリーズに多く投票したために、相対的にフレッシュ!以降の30代40代の割合が増えてきている事もあるかと思われます。
(発表されたのは「絶対数」ではなく「割合」なので、おそらく「ふたりは」の30代と「フレッシュ」の30代の率は違っても「絶対数」は同じ位かもしれません)

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プリキュア部門

 プリキュア部門は全60名から3名投票が出来、上位25名が発表となりました。

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 1位キュアブラック、2位キュアホワイト。
初代「ふたりはプリキュア」がワンツーフィニッシュです。これは投票層からみても、当然の結果かと思われます。ブラック、ホワイトが当時の女の子に与えたインパクトはものすごいものがありました。
3位「キュアマリン」。ハートキャッチプリキュアの「青キュア」がなんと3位に入りました。(これに関しては後ほど、別媒体で触れたいと思います)

 

シリーズ別のランクイン数

シリーズ毎にランクインしたキャラをソートするとこんな感じです。

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ふたりはプリキュア(MH)、ハートキャッチプリキュア!は候補になったキャラ全員がランクインし、そのキャラの強さを見せました。

プリキュアカラーによる差

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例えば「黄色プリキュアが人気」みたいなカラーによる差があるかどうか見てみましたが、特に「人気の色」というものは無い様です。
(だいたい、どの色も総キャラ数の40%前後がランクインしていました。)

 

(キャラクターデザイナーによる差)
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キャラクターデザイナーによる差はあるのかを見てみました。
川村敏江さんデザインのプリキュアが強い傾向が伺えました。
今回発表された上位25キャラ中、10キャラ(40%)は川村敏江さんデザインのキャラクターでした。川村敏江さんは全60キャラ中16キャラ(26%)のデザインを手掛けているので、上位25作品で40%というのは「有意に差がある」ものと思われます。
(逆に高橋晃さんのキャラクターはランクインしにくかったのですが、これはスイート、ドキドキといったストライク世代でも保護者世代でもない「投票世代のはざまの作品」のキャラデザを手掛ける事が多かったためだと思われます)

追加プリキュアも人気

いわゆる「追加プリキュア」が上位25キャラ中9キャラもランクインし(※追加プリキュアは全60キャラ中15キャラ)、その強さをみせました。追加プリキュアは加入時にドラマ性を持つ事が多く、劇的にプリキュアになる姿にファンの感情移入が大きいものと思われます)。

 

キャラクター部門

 951キャラから3票投票でき、上位50位までが発表となりました。

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1位は魔法つかいプリキュア!の「モフルン」。
実は今回の4部門の中で1位が「ふたりはプリキュア」関連ではないのはこの「モフルン」だけなのです。
今回の様に10代20代の投票率が高く「ふたりは」「プリキュア5」への投票割合が高くなっていた今回の投票において、2016年作品魔法つかいプリキュア!の「モフルン」が1位になる事は、ものすごい事なのです。それだけ沢山の人に愛されていたキャラクターだったのだと思います。
2位の「ココ」は当時の女の子の間でも大人気でしたし、ココナツでCDも出ていた程度には大人ファンへも人気の高かったキャラクターです。
3位「FUJIWARA原西」は、この大投票が告知されると同時に、ツイッターなどで「原西に投票できる!」みたいなツイートがバズった事もあり、大きく票を伸ばしました。原西さん自体がプリキュアファンからも好意的に受け入れられているために、みんなが納得の結果となりました。

作品別にランクイン数をソートするとこんな感じになります。

作品別ランクイン数 

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最も多くのキャラクターがランクインしたのが「フレッシュプリキュア!」の7名。オードリーの2人はネタ枠として、カオルちゃんの他、ウエスター、サウラーといった敵キャラ、シフォン、タルトといった妖精もランクインし、その個性の強さをみせました。

そのほか、TVシリーズからは全てのシリーズから1人はランクインし、プリキュアシリーズのサブキャラクターもまた、世代を超えて愛されている事が伺えました。映画からもキュアエコー、ダークドリームといった「プリキュア」がランクインしました。

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歌部門

 149曲から3票投票でき、上位50位までが発表となりました

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1位は貫禄の「DANZEN!ふたりはプリキュア」でした。(これはまあ当然といえば当然です)。
以降2位は「プリキュア5GoGo」のOP「プリキュア5、フル・スロットルGoGo!」、3位ハートキャッチOP「Alright!ハートキャッチプリキュア!」、4位プリキュア5OP「プリキュア5、スマイル go go!」5位「DANZEN! ふたりはプリキュア(Ver.Max Heart)」
と、トップ5は「ふたりはプリキュア」シリーズから2曲、プリキュア5シリーズから2曲、ハートキャッチプリキュア!から1曲と、まさに「メインの投票世代」を反映させる結果となりました。
その中で7位に「スター☆トゥインクルプリキュア」ED「パぺピプ☆ロマンチック」が入ってきたのは、その子供人気の高さの賜物だと思います。
8位「HEART GOES ON」はハートキャッチプリキュアの挿入歌でありながら、今でもファンの人気の高い曲です。

 

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ランクインした50曲中、オープニング曲が16曲と最も多い結果となりました。
エンディング曲は前期、後期に分かれてる為に票が分散しましたが、こちらも数多くがランクインし、各シリーズに共通してオープニングと前期エンディング、後期エンディングの3曲がランクインしている傾向がありました。

OP、ED以外ではハートキャッチ「HERAT GOES ON」スマイルの「あなたの鏡」ドキドキの「こころを込めて」、Go!プリンセスの「プリンセスの条件」など劇中で効果的に使用された楽曲もランクインしました。
映画からは「映画HUGっと!」から「DANZEN唯一無二」が11位、「リワインドメモリー」も42位と2曲ランクイン。映画ハピネスの「勇気が生まれる場所」(25位)もファンの評価が高い曲となっています。映画魔法つかいからの「キラメク誓い」も50位にランクインしました。

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 作品別に集計すると、だいたいどのTV作品からも2~4曲がランクインしています。ハピネスチャージプリキキュア!からは残念ながら1曲もランクインしませんでしたが、投票の時期的な問題で決して楽曲が悪いわけではないと思われます。
ガンバランスdeダンスが3曲エントリーに上がり、票が分散されどれかはランク外になるかと思いきや、圧巻の3曲全部ランクインし、その楽曲の強さをみせました。
スター☆トゥインクルプリキュアからOP,ED2曲および「スターカラーペンダント!カラーチャージ!」も25位にランクインした事は、スタプリの「現役の子供世代および保護者層)への人気の証」だと思われます。

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過去の大投票との差

過去に行われた「大投票」との差をみてみましょう。

全ガンダム大投票 総投票数 1,740,280票
2018年3月2日(月)~4月20日(金))
49日間
作品、キャラクター、メカ、アニソン 5枠まで

全マクロス大投票 総投票数 254,131票
2019年3月1日(金)~4月21日(日)
51日間
アニメ1枠、キャラクター3枠、メカ3枠、歌3枠
再投票あり

全プリキュア大投票 総投票数  613,524票
2019年7月12日(金)~8月31日(土)
50日間
作品1枠、プリキュア3枠、キャラ3枠、歌3枠
再投票あり

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 全プリキュア大投票の総投票数は613,523票。これは全ガンダム大投票の170万票には及ばないものの、全マクロス大投票(25万票)の約2.4倍とかなりの票数となり、プリキュア人気を再実感することとなりました。
(全ガンダムは各5票投票できた様なのでその差もあると思われます。全マクロス、全プリキュアは投票できる数は同じでした。)

 

 (男女比)

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全プリキュア大投票の総投票数の男女比は27:73と圧倒的に女性票が多い結果となりました。
「全ガンダム大投票」の男女比78:22、「全マクロス大投票」の69:31と比較しても、全プリキュア大投票は「顕著に女性の投票が多い」傾向が伺えました。

世代差

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全プリキュア大投票は、年代構成も9歳以下が10.1%、10代38.1%、20代が28.7%と3世代合わせて77%となり、ガンダム20歳代以下42%、マクロスの24.7%と比べて、プリキュアはかなり「若い世代の投票」が目立つ結果となりました。

逆に特徴的なのでは40代以降で、特に40代はガンダム27%、マクロス33%の中、プリキュアは7%しかなく、プリキュアは「コンテンツ」がまだ年を取っていない事が伺えます。(もちろんガンダムマクロスとは放送年季が違いますけどね)
全プリキュア大投票に、沢山の「若い女性」が投票に参加した事は、プリキュアが女の子の心に残り続けている証拠でもあり、この先、息の長いコンテンツへとなっていく事への示唆だと思われます。

 

 さいごに

 

この「NHK全プリキュア大投票」に対して、プリキュアという作品にランキングを付けることに疑問を持たれた方もいるかと思います。
しかしプリキュアの生みの親、鷲尾天氏も公式サイトで言っているように「NHK全プリキュア大投票」はランキングを付けることに意味はなく、プリキュアファンの「熱量」を形にするのが目的だったのです。
今回の「全プリキュア大投票」で全てのプリキュアファンの「熱量」が可視化された事に大きな意味があったものと思われます。

そして今回の「NHK全プリキュア大投票」は、女性投票率が73%、20代以下の世代の投票が77%を占めるなど「若い女性」の投票がランキングを動かしました。
それは子どもの頃に見ていたプリキュアが、大人になった今でも心に残り続けている事の証でもあると思います。
「子供の頃みていたプリキュアは、大人になってもみんなの心の中に生きている。」
その事が可視化された事だけでも、この全プリキュア大投票の意味があったものと思われます。

(おわり)

 

↓上記の記事は、まとめて本(同人誌)になっています。
本に書いてある事は、ほぼこの記事の通りなのでデータだけ見たい方は買わなくてもよいかもです。
大投票の流れや、投票できたキャラ一覧など+αもあるので「紙媒体」で欲しい方ぜひ


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