プリキュアの数字ブログ

プリキュアの数字に関するブログです。数字以外の事も半分くらい。数字に公平であるため広告、アフィリエイトは導入していません。価格.comのプリキュアおもちゃ特集ページ書きました。

マンガ雑誌は本当に、売れていないのか?

コミックビームが売れていないそうですね。

nlab.itmedia.co.jp

 

ちょっと、気になったので漫画雑誌の発行部数について調べました。
データは一般社団法人 日本雑誌協会様のサイトより

www.j-magazine.or.jp

印刷証明付発行部数が公表されている漫画雑誌のみのデータを取得しました。
印刷証明付き発行部数については下記に詳しいです。

印刷証明付発行部数とは - はてなキーワード

(返品された数などは入らないため注意が必要です)

 

今回は「漫画雑誌」を主体にデータを取りました。
アレが載って無い、コレが載って無い、はもともと「印刷証明付き発行部数」が公開されていないか、部数が少なすぎてグラフにならなかったものと思ってください。

縦軸が発行部数(万部)、横軸は2008年より四半期ごとに分かれています。
データはその期間の1号あたりの平均印刷部数です。
(以下すべてのグラフ共通)

週刊少年コミック誌

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まずは、週刊少年誌の3冊「週刊少年ジャンプ(集英社)」「週刊少年マガジン(講談社)」「週刊少年サンデー(小学館)」です。
(週刊少年チャンピオンは印刷証明付発行部数が公開されていません。公称50万部*1です。

「週刊少年マガジン」、「週刊少年サンデー」ともに右肩下がりですね。共に8年間で約半数に部数が減少しています。
「週刊少年ジャンプ」は2008年から2014年までは比較的部数を保ってきていましたが、2015年以降に部数が落ちてきています。(2014年に、NARUTO、黒子のバスケなどが連載終了したためでしょうか?)

 

 

男性向けコミック誌

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 男性向けコミックとしては「週刊ヤングマガジン」の部数減少が著しいです。かつては「ビッグコミックオリジナル」「ヤングジャンプ」よりも発行部数が上だったのが2012年あたりから急速に部数を減少させています。
対しライバル誌?の「週刊ヤングジャンプ」は2013年以後、部数の減少に歯止めがかかっている印象です。何かキラータイトル出ていましたっけ?

少女向けコミック誌

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少女向けコミック誌はちゃお(小学館)、なかよし(講談社)、りぼん(集英社)3誌の比較です。
依然3誌の中ではトップとはいえ、「ちゃお」の部数がどんどん下がってきているのが印象的です。対して「りぼん」はここ数年、発行部数がほぼ減少していません。かつては「りぼん」より「なかよし」の方が発行部数が上だったのが2011年辺りから逆転していますね。

ちなみに本記事とは関係ないのですけど「魔法つかいプリキュア!」の漫画は「なかよし」で連載されています。

「なかよし」は今、プリキュアの他「さばげぶっ!」や新しい「カードキャプターさくら*2」も連載されており、ちょっと注目しているのですけどね。

少女漫画関連は栄枯盛衰が激しいので、過去の数字や情報に関しては、下記のブログに詳しいです。ご参考までに。

今のりぼん・なかよし・ちゃおの勢力図がわたしが知ってるのと違うんだが - ちびドラマーチ

少女漫画誌がオタク化した戦犯について考えてみた - 人生はRPGだ。

児童向けコミック誌など

(Vジャンプはゲーム誌に分類されていますが、便宜上ここに入れました)

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 特徴的なのは「月刊コロコロコミック」です。
2014~2015年にかけて、急激に発行部数を伸ばしています。これは「妖怪ウォッチ」のおかげですね。ふろくに「妖怪メダル」がついたこと等により、全国書店で売り切れが多発しました。

その他「Vジャンプ」「別冊コロコロコミック」なども2008年から2016年までで比較的安定した発行部数ですね。減少率が少ないです。

子供誌

ここ一応プリキュアのブログなので、プリキュアの載っている子供誌も調べました。これらは正確には「漫画雑誌」ではありませんが一応データ取りました。)

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 ギザギザしたグラフになっているのは子供雑誌は季節による変動を受けやすいためです。入学式シーズンはかなりの部数が出るようですね。。

プリキュアを擁する講談社の2冊(たのしい幼稚園、おともだち)の発行部数が比較的、安定しています。

小学館の「ぷっちぐみ」はアイカツブームだった2014年には「アイカツカード」を付録につけて発行部数を伸ばしましたが、最近はまたちょっと部数を落としています。
総合誌の傾向が強い小学館の「幼稚園」は2010年まで部数を落としましたが、ここ数年は安定しています。

 

増減率をみてみました。

2008年の4~6月と、2016年の4~6月の発行部数の増減比を調査しました。
こんな感じです。

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 これを見ると判ることがあります。


2008年から2016年までの漫画雑誌の発行部数の増減率としては

1.少年向け、青年向けの漫画雑誌は大きく部数を落としている傾向。
2.小学生向けの漫画雑誌(コロコロコミック等)は部数を維持している傾向。

にあることが判ります。

 少年向け、青年向けの漫画雑誌の発行部数は、2008年から2016年で、50~60%に減少しています。これは確かにスマートフォンに占有時間を取られている事が1つの要因なのでしょう。
しかし
小学生向けのコロコロコミックや、更に下の年齢に向けた「おともだち」「たのしい幼稚園」「てれびくん」などの減少率は2008年から2016年で、70~90%と、比較的部数が落ちていません*3


この小学生以下の世代はさすがにスマートフォンの影響を受けずに、まだ情報を雑誌に頼っているのでしょうか。
もしくは、これらの子供雑誌には魅力的な「ふろく」が付くことが多く、
デジタルデータで代替できないため、発行部数が維持できている側面もあるのでしょう。
(ただしそうなると、女の子向け雑誌(なかよし、ちゃお、りぼん)にも豪華な付録が付いているけど、部数減少が止まらないことの説明にはならないですか・・)

なにはともあれ、
「漫画雑誌」の発行部数が落ちている。
というのは
少年コミック誌、少女コミック誌、青年コミック誌に見られる傾向で、
小学生低学年向けの漫画雑誌は比較的、発行部数は落ちていない傾向にあることが伺えました。

 

それ以外の発行部数

さて、今までは「印刷証明付発行部数」が出ている漫画雑誌を見て来ましたが、

印刷証明付発行部数は出ていないのですが、同じく日本雑誌協会が出しているJMPAマガジンデータに「公称の発行部数」データが載っています。
(こちらは出版社が発表している数字ですので、参考数値ではありますが・。)


ざっと主要?な漫画雑誌を見てみると、

データ:
一般社団法人 日本雑誌協会 - JMPAマガジンデータ

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これを見ると最初に触れた「コミックビーム」の発行部数は2014年度で3万部。

あの「月刊コミック電撃大王」が13万部、
かの「ヤングチャンピオン」が25万部数、
例の「コミック快楽天」でさえも(失礼)23万部数。

さすがにコミックビームの3万部は部数的にはキツいのでしょうね。
さらに「公称発行部数」が3万部ということは実売はもっと低いのでしょう。

皮肉にも、そのコミックビームでかつて連載されていた、鈴木みそ先生の「銭」という漫画において、コミック雑誌は
「実売で」4万5千部が採算分岐部数、と記載されています。

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引用:鈴木みそ著 「銭」1巻 p35(エンターブレイン) 

 (当然、これが描かれた2002年当時と2016年では状況は違うのでしょうけど、参考にはなるのかなと思います。)

物理だけ見ていてはダメ?

紙の漫画雑誌の発行部数減少を考えるには、

スマートフォンの漫画アプリの台頭や、

www.metaps.com

電子書籍の市場規模、

internet.watch.impress.co.jp

 なども考慮しないといけないとは思います。

可処分時間を何に利用するか。
同じ「漫画を読む」という行為にしても、かつては物理的な「漫画雑誌」が主要な時間の使い方だったのが、電子書籍やスマホの漫画アプリに時間を使うようになった一面はあるのでしょうね。他にもスマホゲームなどにも侵食されてきているのも間違いないと思います。

「コロコロコミック」「たのしい幼稚園」の発行部数が8年前と変わっていない。
それが、今後の漫画雑誌の部数回復に向けて、何かのヒントになると良いのですけどね。

(逆に、この「小学生低学年向け」「幼児向け」は今後の電子書籍やアプリが食い込んでいくブルーオーシャンになりそうな気もしますが・・。)

(おわり)

prehyou2015.hatenablog.com

 

*1:

一般社団法人 日本雑誌協会 - JMPAマガジンデータ

*2:クリアカード編。さくらちゃんも中1になっています。

*3:正確には「おともだち」「たのしい幼稚園」「てれびくん」は漫画雑誌ではありませんね。