僕は、プリキュア15周年記念ライブが始まる前まで、
「ハートキャッチ☆パラダイス!だけは、2度と聞くまい」
ずっと、そう思っていました。
ハートキャッチ☆パラダイス!は2012年「ハートキャッチプリキュア!」の前期エンディングソングで、それはそれはポップでダンサブルでキュートな「ハートキャッチプリキュア!」を代表する歌の1つですよね。あのブロマリに変身して世界が開ける所、大好きなんですよ。
でもね。
僕は、あの曲だけは、どうしても聞く事が出来なくなっていたのです。
☆☆☆☆☆
2019年1月19日、20日に中野サンプラザで開催された
「プリキュア15周年Anniversaryライブ ~15 Dreams Come True~」
2日間、3公演に渡りプリキュア歌手と声優さんが大集合して、プリキュア15年分の歌と踊りを披露してくれた、我々プリキュアファンにとっては、本当に宝物の様な時間でした。
ライブの感想やセットリストの詳細などは祥太 (@shota_) | Twitterさんのブログに詳しいです。↓
最高の奇跡は、奇跡じゃないよ。「プリキュア15周年Anniversaryライブ ~15 Dreams Come True~」 – precure.news
↑これを越えるライブレポ&セトリ記事なんて書くのは僕にはとうてい無理なので、今から書く事はライブレポとかではなく、只の自分語りです。
実は、自分「ハートキャッチ☆パラダイス」という曲がいつの頃からか苦手になっていました。いや、苦手と言うよりはなんだか、あの曲のイントロを聞いているとムズムズしてきて、どうしても途中で再生を止めてしまうのです。だから、プリキュアライブの前に予習で色んな曲を聴いていた時も、この曲だけは聞く事ができませんでした。
それが何に起因してるのか、実は心の中ではうっすらとわかっていたのですけど、それを認める事ができなかったのですよね。
そして迎えたライブ当日。それは公演2日目の事でした。
2019年1月20日、日曜日の昼公演。快晴。13:00から始まった15周年ライブ2日目は、それはそれは大熱狂。当初出演しないと思われていたキュアブロッサム役の水樹奈々さんが(当日の自分のライブ前に)駆け付ける、というとんでもないサプライズもあり、序盤から演者もお客さんも大熱狂。
開始と同時に「映画HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」の主題歌メドレーに乗せ歴代プリキュアたちが決めポーズと伴に大集合。スクリーンには歴代プリキュアの映像。もう、最初から会場はヒートアップ。その後、怒濤のオープニングメドレーが始まります。
そのオープニングメドレーの真っ只中、池田彩さん、水樹奈々さん、水沢史絵さんの歌う「Alright! ハートキャッチプリキュア!」に続いてエンディングソング「ハートキャッチ☆パラダイス!」のイントロが流れ出します。
大歓声と共に、周りのみんなはペンライトをピンクと青に、ブロッサムとマリンカラーにして熱狂していています。
そりゃあそうでしょう。歌うのは復帰した工藤真由さん、水樹奈々さん、水沢史絵さんです。こんな組み合わせ南極でオーロラ見るよりもレアなのじゃないでしょうか。そして工藤真由と花咲つぼみと来海えりか、ハートキャッチプリキュア!第36話のライブシーンを彷彿させる夢の競演です。
だけど、僕はその時、ちょっとイヤな予感がしていました。この曲を聞いちゃいけないんじゃないかと。
もちろん、そんな事はお構いなしにノリノリで歌は始まります。みんなニコニコです。
ひらけゴマで花ひらく、胸のワードローブには
女の子の大好きが、ほらねギュっと詰まってる。「ハートキャッチ☆パラダイス!」 作詞:六ツ見純代
突然蘇る記憶。まだウチの娘が6歳だった頃。日曜日の朝。
「ねえパパ、ワードローブって何?」
「ん?なんていうかタンスみたいなものじゃないかな?多分・・知らんけど」
「じゃあ、ブロッサムは服いっぱいあるの??」
「そうだねぇ・・。服、たくさん、あると良いねえーー」
娘との他愛もない会話が何故だか突然頭の中に蘇ります。
歌は続きます。水樹奈々さんも、水沢史絵さんもニッコニコのノリノリでダンスをしています。
イメチェンだって大成功!
チュチュにフリル、チュニックで
乙女チックに始まる、ショータイム!「ハートキャッチ☆パラダイス!」 作詞:六ツ見純代
「ねえ、パパ。チュニックって何?」
「ん?チュニック…(え?チュニックって・・・何?)そう!ママに聞いてみようか!!」
ちょうどその時、ママはトースターから取り出した食パンにソントンのピーナツクリームを塗っていました。
パパと娘「ママ!チュニックって何・・?」
ママ「チュニック・・ってなんか上に着るやつダボっとしたヤツ・・?」
「全然わかんないよー」
そんな他愛もない会話。
そうか。僕が「ハートキャッチパラダイス」を聞こうとする度に思いだす、あのピーナツクリームの匂いは、この時の思い出だったんだ。
ハートピカピカ、磨いていれば、
暗闇も、照らしてくれる光になる。「ハートキャッチ☆パラダイス!」 作詞:六ツ見純代
車の中で娘と一緒に歌ったハートキャッチパラダイス。僕の車の中では、いつもプリキュアの歌が流れていました。CDもたくさん積んでいました。娘がご機嫌ナナメの時、いつでも、どの曲でもかけられる様に。
うつむかないで、笑顔がイイね。
太陽へ向かい咲いている、こころの花。
「ハートキャッチ☆パラダイス!」 作詞:六ツ見純代
僕は「フレッシュプリキュア!」の時に(プリキュアファンはその作品名で年代を示すのだ)、まだ娘が小さいというのに、一大決心をして「転職」をしました。
しかし転職1年目、慣れない職場で思った様な成果も出せずに、ちょっとふさぎ込んでいました。
家に帰って「うう・・胃が痛い・・」と娘に半分おどけて言うと
「お腹いたいの? もう!おくすりちゃんとのみなさい!」ってママと全く同じイントネーションで娘に怒られた時、なんだか「もうちょっと頑張ろう」って思えたものです。
ピーナッツクリームの匂い。
「パパー!起きてー!プリキュア始まるよー!!」
そんな日常。
「ハートキャッチ☆パラダイス!」は家族で過ごした「なんてことの無い日常」の色と匂いを思い出させるのです。すばらしい楽曲は、思い出と共に匂いすら思い出させるのです。
だから。
僕はどうしてもこの曲を最後まで聞く事ができなかったのです。
「ハートキャッチ☆パラダイス!」を最後まで聞いちゃうと、
あの時を思い出してしまうから。
あの時はもう2度と戻ってこない事を、認めちゃうことになるから。
でもね。
そこはライブ会場。再生停止ボタンはありません。
Chance!Chance! ハートキャッチ!
Dance!Dance! ハートキャッチ!
ハートキャッチプリキュア!「ハートキャッチ☆パラダイス!」 作詞:六ツ見純代
結局、最後まで聞き終わった時には、ペンライトを振るのも忘れ、ただただ、泣いていました。(幸いにも、あのライブではいい大人があちこちで泣いてる光景がみられましたので、不審がられなかったでしょう)
いざ聞き終えれば何てことありません。あれほど忌避していたのがウソのように、全てを受け入れる事ができました。普段思いっきり泣く事なんでなかなかできないから、あの場所で思いっきり泣いちゃった事が、良いきっかけになったのかもしれません。
あとは、もう、残りのライブを全力で楽しみむだけです。
きっとあの日あの場所、中野サンプラザに集まった2000人(×3公演)には、それぞれ沢山のドラマがあるのでしょう。
その1つ1つのドラマは、きっとみんなの大切な宝物で、それをみんなが持ち寄って宝物が2000個が集まった空間で、あのライブは行われたのでしょう。
幸せでした。
プリキュア15周年記念ライブ。
だからもう大丈夫。
今日から、また沢山の宝物を作る日を始めようと思います。
いつの日か、またその抱えきれない程の宝物を沢山持って、20周年ライブ、30周年ライブに、みんなでかけつけるのです。
プリキュアファンみんなの生きざまを詰め込んだ宝物でライブ会場を埋め尽くしてやるのです。
今回ライブに来れなかった人も、この先プリキュアに出会う人も、たくさんのたくさんの人で、ライブ会場を埋め尽くしてやるんだ。
きっと、そんな日が来るって私、信じてる。
ライブは大盛り上り。
20日夜、最終公演のアンコール。
「DANZEN! ふたりはプリキュア ~唯一無二の光たち~」で夢中でライトを振っていた時「人生って楽しい!!」って実感したのです。
家族には「しろたえのレアチーズケーキ」をお土産に買って、名古屋に帰りました。
(またね)
(関連記事)