2018年 HUGっと!プリキュアは子供はもちろんの事、大人たちにも大きな話題となりました。(今回は、そんな大きなお友達のお話です。)
下記グラフは「プリキュアのツイッター実況の参加人数」のグラフです。
これを見ると「HUGっと!プリキュア」は例年とは全く違う動きをしている事がわかります。
(赤い線がHUGっと!プリキュア、比較として前2作を載せています。横軸は話数、縦軸はツイッター実況の参加人数です。データはアニメレーダー様より)
例年よりも、HUGっと!プリキュアはツイッターの参加人数が多かったのが特徴なのですが、その中でも例年とは全く動きが異なった「5つの話」から、いかに「HUGっと!プリキュア」が大きなお友達を動かす戦略に優れていたか、を見ていきたいと思います。
(HUGっと!プリキュアを決定づけた「5つの話」)
1つ目のポイント
第15話「迷コンビ...?えみるとルールーのとある一日」
HUGっと!プリキュア第15話より
1つめのポイントは第15話「「迷コンビ...?えみるとルールーのとある一日」です。
通常、プリキュアのツイッターの実況参加人数は初回をピークに、話数が進むにつれ実況参加人数はどんどん減っていきます。(これは物語が面白くない等の理由ではなく単純に物理的に減っていきます。)
その後、夏前の「追加戦士加入」までは下がり続けるのが常だったのですが「HUGっと!プリキュア」は違いました。
第15話で大きくツイッターの参加人数を増やしたのです。
この台15話は田中裕太演出の、いわゆる「カオス回」でした。ルールーが卵を買いに行く所からえみるとの邂逅、えみるのギターがルールーの「心を動かす」お話で、この先の「えみるとルールーがプリキュアになる」流れの最初のお話でした。
「キュアえみ~る」「エルっと!プリキュア」「ギュイーンとソウルがシャウトするのです!」「らりるれルールー」などのえみルー周りの反響がものすごく、それでいて結構感動もする田中裕太さん渾身のカオス回でした。
ここでツイッター実況の「参加人数」を一気に増やし、その後の「えみるとルールー」がプリキュアになるまでの物語はずっと参加人数を高い位置でキープしつづけました。
そういった意味で、夏前の途中離脱を防いだHUGっと!プリキュアのキーポイントとなったお話でした。
2つ目のポイント
第21話「大暴走?えみるがなりたいプリキュア!」
2つめのポイントは第21話「大暴走?えみるがなりたいプリキュア!」です。
HUGっと!プリキュア第21話より
HUGっと!プリキュアの中でもっともツイッター実況参加人数が多かった回です。
ラストにサプライズで「ふたりはプリキュア」のなぎさとほのかが出てくる、という仕掛けで参加人数を大きく伸ばしました。
この回のすごい所は、えみルーが新プリキュアとなって新しい武器を手に入れる、という販促回に合わせて「ふたりはプリキュア」を出した事です。10数年ぶりにTV本編に出てきたなぎさとほのかに大きなお友達は歓喜しました。
この「ふたりはプリキュア」の登場を、キュアマシェリ、キュアアムール2人同時加入の後で、この先「ツイッター参加人数が下がっていくタイミング」=(大きなお友達は離れてしまうタイミング)で投入した事は、この先の大きなお友達の維持に大きく貢献したものと思われます。
もちろん映画の宣伝なども兼ねての出演だったと思われます。あとなぎほのが出る事が事前に全く情報が洩れなかったのも結構凄い事だと思います。
3つ目のポイント
第32話 「これって魔法?ほまれは人魚のプリンセス!」
HUGっと!プリキュア第32話より
例年、甲子園中継で関西勢のツイッター参加が無くなると、ツイッター実況数は落ち込みを見せます。その後、関西が通常放送に戻ってもツイッター実況は何故かなかなか復活しないのですけど、HUGっと!プリキュアでは夏の落ち込みの後、第30話~32話でふたたび参加人数を増やします。これもまた、例年になかった動きです。
第30話「世界一周へGOGO!みんなの夏休み!」
第31話「時よ、すすめ!メモリアルキュアクロック誕生!」
第32話「これって魔法?ほまれは人魚のプリンセス!」
この3話の流れが、また神がかっていました。
30話「世界一周へGOGO!みんなの夏休み!」は、これもまたいわゆるカオス回っぽくて、世界一周を軸にルールー親子を描いた回でした。ツイッターの実況が落ち込みそうになるタイミングでカオス回が放送され持ち直す、といった事がここでも起きていました。
続く第31話「時よ、すすめ!メモリアルキュアクロック誕生!」は、はなちゃんのイジメ問題へ切り込んだ問題回でした。これもまたツイッター実況を大きく伸ばす事となります。
更に第32話「これって魔法?ほまれは人魚のプリンセス!」で、「ほまれとハリーの恋愛」、ハリーの想い人(キュアトゥモロー)の示唆、敵キャラ、ビシン君のヤンデレっぷりなどこれもまた、大きく盛り上がるお話となりました。
この「カオス回→イジメ克服回→ほまれ恋愛回」と続く毛色の違う3作一連の流れが、HUGっと!プリキュアの大きなお友達をつなぎとめていた事がツイッター実況参加人数のデータから判ります。
通常、大きなイベント(新プリキュア加入、新武器入手、敵幹部退場など)の後でひと段落すると、ツイッター参加人数が下がる(=大きなお友達が離れやすい)のですが、HUGっと!プリキュアはそのタイミングで「カオス回」「恋愛話」を持ってくる事により、大きなお友達をつなぎとめていました。
4つ目のポイント
第37話「未来へ!プリキュア・オール・フォー・ユー!」
HUGっと!プリキュア第37話より
4つ目は第37話「未来へ!プリキュア・オール・フォー・ユー!」です。
この回は「55人のプリキュアオールスターズが全員集合する」というとんでもない回でした。
これには子どもはもちろんの事大きなお友達も大興奮でした。
(制作プロデューサーは「TVアニメでやる事ではない」って怒られた様です)
これは10月21日放送、この時期は例年でもツイッター実況が最も低下傾向にある時期(=大きなお友達が離れる時期)なのですが、このとんでもない回により、HUGっと!プリキュアはツイッター実況参加人数を大きく増やし、大きなお友達をプリキュアに意識づける事に成功しています。もちろん秋映画の宣伝も兼ねていましたし、その秋映画も大ヒットしました。
5つ目のポイント
第42話「エールの交換!これが私の応援だ!!」
HUGっと!プリキュア第42話より
ラストは第42話「エールの交換!これが私の応援だ!!」です。
若宮アンリ君がキュアンフィニへと変身した回ですね。放送終了と同時にハフポストで記事が書かれ大反響となりプリキュアファンだけではなく、各方面に大きな反響となりました。
当然、ツイッターの実況でも大きな盛り上がりを見せ大きく参加人数を伸ばすこととなりました。
このメディアへの露出は「クリスマス前に保護者へプリキュアを意識づける」事にもなっていたと思われます。
こうして参加人数を大きく増やしたところにに次の週に「輝木ほまれの失恋」を描いた「輝く星の恋心。ほまれのスタート。」と続き、こちらもツイート実況で大きな盛り上がりを見せたのです。
「大反響が起きる回」と「比較的おちゃらけた回」と「ほまれの恋愛話」を続けて持ってくるっていう構成が1年を通してお見事にはまっていました。
例えば、23話~25話
23話:最大のピンチ!プレジデント・クライあらわる!
24話:元気スプラッシュ!魅惑のナイトプール!
25話:夏祭りと花火とハリーのヒミツ
シリアス回(23)→ナイトプール回(24)→夏祭り回(ほまれ恋愛回)(25)
でしたし、
30話~32話では
30話:世界一周へGOGO!みんなの夏休み!
31話:時よ、すすめ!メモリアルキュアクロック誕生!
32話:これって魔法?ほまれは人魚のプリンセス!
世界一周カオス回(30)→はなイジメ問題回(31)→ほまれ恋愛回(32)
でしたし、
42話~44話は
42話:エールの交換!これが私の応援だ!!
43話:輝く星の恋心。ほまれのスタート。
44話:夢と決断の旅へ!さあやの大冒険!
男の子プリキュア(42)→ほまれ恋愛回(43)→さあやカオス回(44)
と「ちょっとシリアスな回」と「カオスっぽい回」と「ほまれ恋愛話」を連続して放送して大きなお友達(ともちろん子供たち)を飽きさせない構成になっていました。
そういった意味では、HUGっと!プリキュアを1年を通して大きなお友達に飽きさせずに視聴させたMVPは「輝木ほまれの恋愛」だったのではないでしょうか。
HUGっと!プリキュアは、LGBTや家父長制、女性の社会進出など社会的なメッセージを「直接的な言葉で」表現する事で話題となりましたが、実際の所はカオス回から恋愛回までバラエティに富んだたくさんの話を要所に散りばめており、これらのバランスの良さが「大きなお友達」に受け入れられ話題となっていた事がツイッター実況参加人数から推測されます。
「HUGっと!プリキュア」は何かと話題にされがちな「社会派」の部分だけではなく、楽しく、バラエティに富んだお話もとっても楽しかったのですよね。
以上、「ツイッターの実況参加人数」を増やし、HUGっと!プリキュアを(結果的に)盛り上げた5つの話でした。
(おわり)